発表報告

僕の発表は初日の14時から、マーティン・バイゲイトとピーター・スキーアンという二人の大御所の間、ということで、プログラムが発表されてからずっと緊張していたのですが、実際の発表でも、40名ほどの聴衆が集まったことに加えて、マーティン、ピーターの他に、ヴァージニア・サムダ、ロズ・ミッチェル、メリル・スウェインの顔も見え、自然と緊張感が高まりました。結局発表の間中、緊張が解けることはありませんでしたが、それでも、しっかり準備していったおかげで、大きな問題もなく終えることができました。

予定通り20分ちょうどで発表が終わり、質問になったところで、ピーターからいくつか質問がありました。僕の研究はピーターのこれまでの研究を元にしながら、その一部に意義を唱えた別の研究者の研究の延長線上にあるので、ピーターとしては腑に落ちないところがあるみたいで、予想はしていましたが、かなり突っ込んだ質問をされました。

僕の時間が終わってピーターの発表に移る際、すれ違いざまに「後で少し話をしましょう」と言われましたが、結局その日はチャンスがなく話をすることができませんでした。ところが、翌朝、たまたま道ですれ違った際に、「休憩時間に話をしましょう」とまた言われてしまいました。

何をいわれるかな、とやや戦々恐々としながら話をしに行きましたが、ピーターの方はただ純粋に、今回の研究をこの後どのように進めていくのか興味があるようでした。彼の方も、自分と、また自分の担当している学生の関連する研究を紹介して、僕の研究に対するアドバイスをいろいろしてくれて、最後に「つまり、私たちは、同じことを違うアプローチで調査しているんだね」と言ってくれました。自分が今取り組んでいる研究は、ピーターのこれまでの研究の上に成り立っているので、そんなことを言われて驚いてしまいました。

さらに驚いたことは、ピーターはその日の午後にももう一つセッションがあったのですが、そのパワーポイントのスライドの中に、なんと僕の名前が入っていました。つまり、昨日僕の発表を聴いた後で、今日のために付け加えてくれたのでした。そして、「昨日○○も言っていたように・・・」と名前まで挙げてもらって、それを聴いたときは気を失いそうになりました。

僕にしてみれば、話をして名前を覚えてもらうだけでも嬉しいのに、発表の中で取り上げてもらえるとは夢にも思っていませんでした。何よりも、これまでやってきた方向性が間違っていなかった、ということが確信できて、今後さらに研究を進めていくためにも大きな自信となりました。その上で、「これからはもっとしっかりやらなかれば行けない」という責任感、緊張感が自然と湧いてきました。

いつもそうなのですが、今回も発表の前日までは、学会に参加することを後悔していましたが、無事発表も終えることができ、ピーターをはじめ、たくさんの人たちとコンタクトを取れたことを振り返ると、本当に参加してよかったと思います。これまでの発表以上に、一研究者として忘れられない発表となるでしょう。