ピカソ美術館へ

仕方がないので、またメトロに乗って今度はサン・ポールにある「ピカソ美術館」へ行くことにしました。「ピカソ」は前回も行ったのですが、こじんまりとした雰囲気がとても気に入りました。

ピカソの絵は、いつも興味深く見ています。最初にまとまって見たのはバルセロナの「ピカソ美術館」でした。そこはピカソの生家を美術館しているため、彼の子供時代から青年時代の絵が中心に展示されていますが、子供とは思えないあまりのデッサン力に、素人ながら圧倒されました。ピカソの絵というと、一見すごく簡単に描いたような印象を受けがちですが、幼少時代の写実的な絵の完成度を見ると、まず完璧なまでに基礎が確立された上で、究極のリアリズムとして極端にデフォルメされた方向へ向かっっていったことがよくわかります(学問的に正しい解釈がどうかわかりませんが)。

ところで今回パリのピカソ美術館に来てみてわかったのは、展示物がほとんど入れ替わっていて、毎回何らかのテーマに沿ったピカソ作品を展示しているということでした。今回は、ピカソの恋人(の一人)、ドラ・マールがテーマということで、ピカソが描いたドラの肖像画、逆にドラが撮影したピカソの写真が数多く見ることができました。特に興味深かったのは、ピカソとドラの恋愛期間は、大作「ゲルニカ」の制作期間にあたり、まさにゲルニカ制作中のピカソをドラが写真に納めています。ピカソが描いたドラの肖像画にしても、恋人の絵とは言っても、戦時中の影響か、非常に暗い印象があります。

また、「ゲルニカ」そのものは、もちろんマドリードの「ソフィア現代美術センタ」にありますが、ピカソはそれ以外にもたくさんの関連作品やデッサンを描いていて、その一部も今回公開されていました。