チュートリアル

今日は久しぶりのチュートリアルでした。

チュートリアル」というのは、研究について指導教官と学生が一対一で相談をする時間で、イギリスの博士課程の中核(あるいは全て?)を成すものです。内容は、研究の段階、先生の指導方針によって千差万別ですが、僕の場合は基本的に何らかのライティングか、前回のチュートリアル以降の研究成果をまとめたものを事前に提出して読んでおいてもらって、その内容に関して1−2時間程度ディスカッションをします。

アナマリアとシーナの二人が僕の指導教官ですが、シーナの方は今タームからサバティカル(研究休暇)ということで、これから数ヶ月は基本的にアナマリアとの面談になります。今日は研究の後半部分の分析経過を見てもらい、いろいろ意見をもらうことになっていました。

これまで行ってきた研究の前半部分は「量的方法」を用いて、統計的に第2言語の可変要素を見てきましたが、後半部分はstimulated recallという方法を用いて、言語活動中の認知プロセスを質的に観察することを目的としています。

「量的」と「質的」どちらの方が良くて、どちらの方がより難しいというわけでもなく、それぞれ一長一短ですが(だからこそ僕の研究では「両方」を用いています)、「量的」の方が方法論(つまり統計的知識)の理解が難しい反面、出てきた結果を分析するのは比較的簡単ということは言えるかもしれません。

一方、「質的方法」になると、方法自体は割にシンプルですが、その得た結果を分析するのは複雑になりがち、ではないかと思います。極端に言えば、どのようにでも解釈できる、という面があり、それが量的研究者からの主な批判にもなるのですが、その一方で、表面上の数字では捉えきれない、しかし潜在的に重要な点については質的研究によってより探求することができると思います。

というわけで、今回の質的研究に関しては、とりあえずこの数日で試みた分析が「機能しそうかどうか」という点で先生の意見を聞きに来たわけですが、想像以上にアナマリアの反応が良くてびっくりしました。彼女自身、もともと質的研究者ということもあって、具体的に今後の方向性について多くの示唆ももらえることができ、とても充実した時間となりました。