オーバーラーニング

学部生向けの「言語学」の授業の一部を3年間担当しているのですが、もともと自分の専門分野でなかったので、1年目は本当に苦労しました。でもそのおかげで、英語の言語的な仕組みがよくわかったし、将来日本で英語を教える際にも役に立つ点にたくさん出会いました。

「言語の仕組み」の理解というのは、実際に使う際には必ずしも必要ないし、それが邪魔になってスムーズなコミュニケーションを妨げる場合もあるわけですが、もう少しきちんとした英語、特に論文を書いたりするときには、「文法を意識する」ということがとても重要になります。

例えば、アカデミック・ライティングで、正確な文法、単語を使って書いているのに、「読みにくい」文章になってしまうのはなぜか(もちろん「内容」がまず良いことが前提ですが)。その問いに、「文」単位の理論ではうまく答えることはできませんが、授業でベースになっている「文を超えるレベル」(専門的には「テキスト」という)の理論は見事に答えてくれます。それが自分自身の論文を書く際にも大きく役立っているのは言うまでもありません。

ところでそのことを同僚のイギリス人のダンカン(PhD一年目)と話していたら、全くその通りだと同意して「Overlearningが一番勉強になるんだ」と言っていました。

確かに「教える」ためには「教える内容」だけを理解すればいいわけではなくて、それを超えるところまで理解して、その中から「最も重要な部分」を抽出する必要があるわけです。

教える立場になると、実は「教師が一番勉強になる」というのがよくわかります。


今日はそのダンカンの家で、PhDの学生のパーティーがあります。今までほとんどそういったSocialがなかったので、楽しみです。